都内の某大学(偏差値は真ん中より上)の経営学部にAO入試や公募推薦入試・自己推薦入試と呼ばれる、公募制の推薦入試で合格しました。最初に受験した公募制のAO入試に落ちてから1ヶ月間、全力で対策した結果で勝ち取った合格です。
この経験をもとに、これからAO入試等の推薦入試で大学受験をする人に、経験者目線の本音で「やってよかった対策」と「やるべきではない行動」を紹介します。
また、筆者は指定校推薦は未経験なので、こちらにも当てはめられるかはわかりません。
AO入試・推薦入試対策でやってよかった3つの対策
AO入試の本や塾で習うような体系的なノウハウ以外で、やってよかった3つの対策をご紹介します。
できるだけ多くの人に面接練習に付き合ってもらう
- 回数をこなすことで場数を踏める
- 色々な質問のに答える練習の場を得られる
- 様々な人からフィードバックや意見を貰える
万人におすすめする事であると同時に、内向的であったり緊張しやすい気質が強い人に程、強く勧めたい対策です。
この対策で得られるものは上の2つがあります。
1つ目の「色々な質問のに答える練習の場を得られる」事の良さは、(こちらから指定しなければ)人によって聞いてくる内容やその順番が異なることから、様々な状況に対処する練習になることにあります。
実際に固定的なメンバーに面接練習を依頼するとわかりますが、どうしても聞く内容の偏りや順番のパターン化が生じますし、意識的に変えようとしてくれるとぎこちない雰囲気になり、本番感を持たせながら練習することが難しくなります。
しかし、人を変えると自然な雰囲気のまま質問内容や順番が変わりますので、効果的かつ無意識的に様々な状況に対処する練習ができます。
2つ目の「様々な人からフィードバックや意見を貰える」ことの良さは、自分や固定的な練習相手では気づかない、自身や自身の回答の強み(よさ)や弱み(改善点)を知れることにあります。
筆者の体験でいうと、普段、面接官役をしてくれていた面倒見と人当たりが良い2人の先生からは立ち振る舞いに関するフィードバックを多く頂いていた中、ある時面接官役をしてくれた内向的な先生(自分の専門以外の事柄では会話が弾まないタイプ)は、志望動機にまつわる自分の経験に成功と失敗の両方がバランスよく織り交ぜられていることをほめてもらい、これらの内容は変えることなくそのまま使ったほうが良いとアドバイスをもらいました。
この理由として言われたのは「成功した話ばかりだと鼻持ちならない奴に思えるが、失敗の話ばかりでも華が無い。そのバランスが良くとれている」ということでしたが、これはその先生が国語の担当でかつ、作文に詳しいからこそのアドバイスでした。
このように、人が変われば貰えるアドバイスも変わるので、固定的なメンバーを相手に面接練習をするのはおすすめできません。
練習相手を探したり、先生に頼むのはハードルが高いと感じる方もいると思いますが、なにか1つでも授業を受け持ってもらっているといった、少しでも縁がある人はどんどん巻き込んで、時に図々しすぎる位で練習に付き合ってもらってみてください。
特に先生相手に試すのは、たとえ協力が得られなくても同年代の友人や先輩後輩のように気まずくなることが無いのでおすすめです。感謝と礼儀は持ちつつも、気を遣うことなくどんどん頼んでいきましょう。
この練習相手を探す際の注意点ですが、必ず大人に依頼するようにしてください。というのも、面接練習は質問までこちらが用意し、想定した質問に答えるだけでは意味が無いため、何も言わなくても質問を自分で考えて聞いてくれる人に依頼する必要があります。そして、それは同年代の友人には期待しにくいため、大人に頼んだ方が効果的です。
当然ながら同年代の友人にそこまで頼めるのであれば問題はありませんが、少しでも不安があるのであれば大人に依頼することをおすすめします。
とにかく大量に小論文を書く
試験内容に小論文がある受験生に伝えたい、最高&最強の小論文対策はこれです。
筆者の場合ですと1校目のAO入試に落ちた際に本命であった2校目のAO入試が約1ヶ月半後に迫っていたため、その1ヶ月半、死ぬ気で小論文を書きまくりました。結果として小論文の型やアイデアを浮かばせるコツを含めた文章力が大幅に向上し、本番でも2問の論述課題を余裕をもって解くことができました。
ただし、量が大事であると言っても、注意点やノウハウが無いわけではありません。筆者の小論文対策を分析した結果、効果をもたらしたと考えられる事柄を以下に書き出しましたので、これらを参考に書きまくってみてください。
- 「結論から書く」「空きスペースを使ってメモ書きして攻勢を効率的にまとめる」といった小論文を書く型やお約束をしっかり覚える
- 文字数や題材など、様々な要素を分散させたバリエーションに富んだテーマやルールで書いてみる
- 受験校の小論文の過去問を入手してルールを確認し、そのルールで受験する学部に関連するテーマをたくさん用意して書きまくる
- 毎回時間を測って制限時間に収めることとなるべく早く書くことを意識(後でブラッシュアップする時間が必要なため)
- 問題を作ってくれる人を見つけてテーマをたくさん用意してもらう
- 小論文の知識がある添削者を見つけて添削を頼む(国語の先生が見込み高い)
- 受験期間だけでもニュースと受験する学部に関する情報にたくさん触れて情報と時事ネタの引き出しを増やす(筆者は当時、日経電子版を1ヶ月だけ契約しました)
志望理由書をコツコツ時間をかけて作る
筆者はAO入試を2回受験したため、志望理由書にはトータルで3ヶ月程度の時間をかけました。そして、これは非常に賢明な選択だったと思っています。
AO入試の課題は様々ですが、志望理由書の特徴は提出するまで何度も書き直すことができる点にあります。これを活かさない手はありません。
提出は手書きでしたが、用紙には提出時(=最後)に書けばいいだけなので、パソコンやスマホにアイデアを思いつくまま大量に書き出し、表現や盛り込むネタを何度も修正してブラッシュアップしていきました。
結果として、2校目のAO入試では合格を勝ち取ることができました(なお、1校目の志望理由書では別の致命的なミスをやらかしています。その話は後述の「やるべきではないと思う行動」にてお話しします)。
経験者の話やAO入試のノウハウには「(小論文等の)試験課題のほうが配点が高いからそっちを重視しろ」といった声もあります。小論文等の試験課題を課すシステムのAO入試をやっている大学においては、この「試験課題のほうが配点が高い」という話は間違っていません。ただし、これはあくまで「比較的高い」という意味であり、結果は総合的に判断されるので手を抜いてよい理由にはならない点に注意しましょう。
加えて、大学によっては小論文といった試験課題をこなすまでに志望理由書や成績表などの提出書類で足切りされてしまうシステムになっていることもあるので注意が必要です。
ちなみに、志望理由書を書くコツと、書くことが思いつかないという状態を脱する、書き始めのハードルを下げるコツは以下の通りです。
- パソコンやスマホにGoogleDrive及びGoogleドキュメント(無料)を導入していつでもどこでもアイデアを書き留められる状態にする(書くハードルを下げるコツ)
- 大学での学びを通じて何を実現したいのか(就きたい職業を含む)を書く
- 実現したい事には利他的な理由を半分以上含める(大学は社会に貢献できる人材を求めている)
- 人に表現を借りず自分の言葉で書く
AO入試・推薦入試でやるべきではないと思う行動
ここまでやってよかったAO・推薦対策を述べましたが、逆にやって失敗したと思う行動や、やらなくて正解だったと後で安堵した行動もあります。
自分の言葉を捨てて添削してもらった志望理由書・ESを出す
1回目の不合格となった大学のAO入試で、(不合格の原因はどう考えても筆記試験の小論文の出来が悪かったからなので直接的な敗因ではないものの)最大のやらかしだと思っているのがこれです。
このAO入試は9月に行われたのですが、その時の志望理由書を作っていた高校3年の7月当時の筆者は添削を受けてより良い(=ウケの良い)志望理由書を書くことだけを考えており、それ以外のことが見えていませんでした。
その結果、題材はこれまで自分がやってきたことと今後やりたいことをそのまま使ったものの、それを落とし込んだ文章の方は現代文の先生にがっつりと添削してもらった、美麗字句の並んだ(高校生のレベルにしては)非常にまとまりの良い綺麗な文章を提出しました。
この行動で作った志望理由書から失ったのは自分の言葉です。そして、それはAO入試や推薦入試で使える武器である個性と熱意を殺すことに直結していました。
実際、不合格通知を貰って冷静になった後にこの時の志望理由書を読み返したとき、その文章からは何も読み取れませんでした。書き手の人物像自分自身が自分自身を表すために書いたのにも関わらず、そこに自分はいなかった。文体だけは綺麗な、しかし中身のない言葉だけがありました。
筆者は自分を飾ることや取り繕うことを否定する気は一切ありませんし、入試や就職の場でそれが必要になることも承知しています。また、自分が他の人と比べて個性が際立っているとも思っていません。
しかし、個性とは芸能人やYouTuberのような際立ったもの、面白いものに限らず、誰もが持つ「その人となり」です。それを押し殺してしまうのは人間性を見たいと考えるAO入試や推薦入試において最悪の行動だと思います。
長々と話しましたが、結論として、この記事を読んでいる受験生の方には、不器用でも、下手でも、自分の言葉で志望理由書を書くことを強くおすすめします。
誤字脱字や文法ミス、「伝えたいことが伝わるか」といった文法的な添削は受けるべきですが、表現や内容まで作ってもらうことはおすすめできません。
AO入試・推薦入試の有無だけで志望校や学部学科を選ぶ
厳密には、AO入試や推薦入試という、楽な手段と勘違いしがちな制度の有無だけで「興味のない」学校や学部学科を志望校にすることを避けるべきという話になります。
筆者が大学生活を送ったうえでの体験談ですが、興味が無い授業で専門的な話を聞かされるのはマジできついです。
筆者の場合、興味がある学部学科に入ったので、これを痛感したのは「その専門分野の中で興味が無い授業をなんとなく取った時」でしたが、1科目が1年間続くだけでもキツかったので、これが4年続く事を想像すると寒気がしましたw。
現時点でやりたいことが無いという受験生の方もいると思いますが、楽をすることだけを考えて志望校を選ぶと、目先の半年~1年は楽しめるものの、その後の大学生活4年間(短大や専門学校だと2年)は地獄と化す恐れがあります。そして、AO入試や推薦入試は学科試験こそ無いことが一般的なものの、小論文対策といった別の勉強が必要で決して楽な手段ではありません。踏んだり蹴ったりという結果にならないよう、くれぐれも注意してください。
【まとめ】AO・推薦は楽じゃない!時間がかかるので早めの準備を
いくつかの対策を紹介しましたが、総じて言えることはとにかく早めに対策と準備を進めるべきということです。AO入試や推薦入試は楽な選択肢ではなく、準備に時間がかかります。
筆者の場合は1校目に落ちるまでどこかAOを舐めていたため、不合格になった後から合格した2校目の推薦入試受験までの1ヶ月半は受験勉強をAO・推薦の受験科目に全振りし、その期間は死ぬ気で取り組みました。これを読んでいる方はこのように直前になって焦ることが無いよう祈ります。